紅の衣にほはし辟田川
絶ゆることなく我れかへり見む
- 歌の意味
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紅の衣を川の水に照り映えさせながら、辟田川の流れが絶えないように、絶えることなく私は何度でもここへ来て見よう。
- 鑑賞
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巻第十九 4157
詞書は前の歌に続き「鵜を潜くる歌一首并せて短歌」
辟田川での鵜飼を詠んだ長歌の反歌で、長歌の結びに描かれた、妻が形見にと紅に染めて送ってくれた衣の裾が濡れるさまを受け、その紅の衣を照り映えさせながら、川の流れが絶えないように自分も絶えずこの川を訪れようと詠んでいる。
鵜飼の楽しさとともに、都の妻を思う気持ちと、越中の川への讃美とが一首に込められている。辟田川の所在については諸説があり、定かではない。
作者の大伴家持は、大納言大伴旅人の子で、天平十八年(746)から越中守として越中国府(現在の富山県高岡市伏木)に赴任していた。万葉集の編纂に深く関わったとされる奈良時代を代表する歌人である。
初句「紅の」は、長歌に詠まれた妻からの紅の衣を受け、鮮やかな色を一首の冒頭に据えている。
二句「衣にほはし」の「にほはす」は色を照り映えさせる意で、紅の衣が川の水に濡れて鮮やかに映えるさまをいう。
三句「辟田川」は川の名で、上二句から「絶ゆることなく」を導く役割も果たしている。
四句「絶ゆることなく」は、川の流れが絶えないことと、自分の訪れが絶えないこととを重ね合わせている。
結句「我れかへり見む」の「かへり見る」は繰り返し訪れて見る意で、「む」の意志によって土地への愛着を誓うように結んでいる。
にほはす:色を美しく照り映えさせる
かへりみる:繰り返し訪れて見る
- 作者
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大伴家持
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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矢形尾の真白の鷹を宿に据ゑ 掻き撫で見つつ飼はくしよしも
- 次の歌
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年のはに鮎し走らば辟田川 鵜八つ潜けて川瀬尋ねむ