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年のはに鮎し走らば辟田川
鵜八つ潜けて川瀬尋ねむ

歌の意味
毎年、鮎が勢いよく泳ぐ季節になったら、辟田川に鵜をたくさん潜らせて、川の瀬を探り歩こう。
鑑賞
巻第十九 4158

詞書は前の歌に続き「鵜を潜くる歌一首并せて短歌」
 鵜飼の長歌に添えられた二首目の反歌で、毎年鮎の季節が来たら辟田川で鵜を潜らせ、川の瀬をめぐって鵜飼をしようと詠んでいる。前歌の「絶ゆることなく」を、「年のはに」という毎年の営みとして具体化している。
 鮎が走るという躍動感ある表現に、越中の川の豊かさと、鵜飼を楽しむ作者の弾む心とが表れている。
 作者の大伴家持は、大納言大伴旅人の子で、天平十八年(746)から越中守として越中国府(現在の富山県高岡市伏木)に赴任していた。万葉集の編纂に深く関わったとされる奈良時代を代表する歌人である。

 初句「年のはに」は毎年の意で、前歌の「絶ゆることなく」を年ごとの営みとして言い換えている。
 二句「鮎し走らば」の「し」は強意の副助詞で、鮎が勢いよく泳ぎ回るさまを「走る」と表し、仮定の「ば」で季節の到来を条件として示している。
 三句「辟田川」は前歌の三句と同じ川の名を同じ位置に置き、二首の反歌を対応させている。
 四句「鵜八つ潜けて」の「八つ」は数の多いことをいい、「潜く」は水に潜らせる意で、たくさんの鵜を潜らせる鵜飼の情景を描いている。
 結句「川瀬尋ねむ」は、川の瀬を探りめぐろうという意志を表し、鵜飼の楽しみへの期待をこめて結んでいる。

としのは:毎年
かづく:水に潜らせる
うかひ:鵜を使って川で魚を捕る漁
作者
大伴家持
出典
万葉集
前の歌
紅の衣にほはし辟田川 絶ゆることなく我れかへり見む
次の歌
礒の上のつままを見れば根を延へて 年深からし神さびにけり