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妹を見ず越の国辺に年経れば
我が心どのなぐる日もなし

歌の意味
あなたに会わないまま越の国で年を過ごしているので、私の心が和らぐ日もない。
鑑賞
巻第十九 4173

詞書「京の丹比の家に贈る歌一首」
 都の丹比の家に贈った歌で、あなたに会わないまま越の国で年を重ねているので、心の和む日もないと離別の寂しさを訴えている。丹比の家については、妻坂上大嬢の縁者の家とする説があり、家持が大嬢に代わってその家の女性に贈った代作と見る説もある。
 越の国に年を経るという表現に、都を離れて長く地方に暮らす身の寂しさがにじんでいる。
 作者の大伴家持は、大納言大伴旅人の子で、天平十八年(746)から越中守として越中国府(現在の富山県高岡市伏木)に赴任していた。万葉集の編纂に深く関わったとされる奈良時代を代表する歌人である。

 初句「妹を見ず」の「妹」は親しい女性を呼ぶ語で、会えないままという離別の状況を冒頭に示している。
 二句「越の国辺に」は、越の国のあたりにの意で、都から遠い越中に身を置いていることを示している。
 三句「年経れば」は、年を過ごしているのでの意で、「ば」が確定条件として理由を示している。
 四句「我が心どの」の「心ど」は心の働き、気持ちの意で、自らの心のありようを示している。
 結句「なぐる日もなし」の「なぐ」は心が穏やかになる意で、心の和む日がないと寂しさを訴えて結んでいる。

こころど:心の働き、気持ち
なぐ:心が穏やかになる、和む
作者
大伴家持
出典
万葉集
前の歌
霍公鳥来鳴き響めば草取らむ 花橘を宿には植ゑずて
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春のうちの楽しき終は梅の花 手折り招きつつ遊ぶにあるべし