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霍公鳥夜鳴きをしつつ我が背子を
安寐な寝しめゆめ心あれ

歌の意味
ほととぎすよ、夜通し鳴き続けて、わが友を安らかに眠らせてはいけない。決して油断なく心してくれ。
鑑賞
巻第十九 4179

詞書は前の歌に続き「四月三日、越前判官大伴宿祢池主に贈る霍公鳥の歌、旧きを感ずる意に勝へずして懐を述ぶる一首并せて短歌」
 池主に贈った長歌の反歌二首目で、ほととぎすに対し、夜通し鳴いて友を安らかに眠らせるな、よく心得よと命じている。長歌の結び「安寐寝しめず君を悩ませ」を受け、友を恋しさで眠れなくさせよという戯れの趣向で、親友への親しみを表している。
 ほととぎすの声を聞けば昔を思って眠れなくなるはずだと、自分と同じ懐旧の情を池主にも味わわせようとする、ユーモアを含んだ友情の歌である。大伴池主は家持の同族で、かつて越中掾として家持の下に仕え、ともに多くの歌を交わした親友であったが、このころは越前の掾(判官)に転じていた。
 作者の大伴家持は、大納言大伴旅人の子で、天平十八年(746)から越中守として越中国府(現在の富山県高岡市伏木)に赴任していた。万葉集の編纂に深く関わったとされる奈良時代を代表する歌人である。

 初句「霍公鳥」は呼びかけで、一首全体がほととぎすへの命令の形をとることを示している。
 二句「夜鳴きをしつつ」は、夜通し鳴き続けての意で、眠りを妨げる手段を示している。
 三句「我が背子を」の「背子」は親しい男性への呼びかけで、ここでは池主を指している。
 四句「安寐な寝しめ」の「安寐」は安らかな眠り、「な〜しめ」は禁止で、安らかに眠らせるなと命じている。
 結句「ゆめ心あれ」の「ゆめ」は決して、よくよくの意で、心して務めよと念を押して結んでいる。

やすい:安らかな眠り
せこ:親しい男性への呼びかけ
作者
大伴家持
出典
万葉集
前の歌
我れのみし聞けば寂しも霍公鳥 丹生の山辺にい行き鳴かにも
次の歌
さ夜更けて暁月に影見えて 鳴く霍公鳥聞けばなつかし