山吹の花取り持ちてつれもなく
離れにし妹を偲ひつるかも
- 歌の意味
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山吹の花を手に取って、そっけなく離れて行ってしまったあなたのことを偲んでいることだ。
- 鑑賞
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巻第十九 4184
詞書「京師より贈り来る歌一首」
都から越中に贈られてきた歌で、山吹の花を手にしながら、そっけなく遠くへ行ってしまったあなたを偲んでいると詠んでいる。「妹」は越中に下った家持の妻坂上大嬢を指すと考えられ、都に残った者が去った人を慕う心が表されている。
左注に「右、四月五日に、留女の女郎より送れるなり」とあり、四月五日に都に留まっている女郎から送られたものとわかる。本巻の第四千百九十七首の左注によれば、この女郎は家持の妹である。「つれもなく離れにし」という恨みを込めた言い方は、親しさゆえの甘えを含んだものといえる。
作者の留女の女郎は、大伴旅人の娘で家持の妹にあたり、都に留まっていた女性である。名は伝わっていない。
初句「山吹の」は、晩春に黄色い花を咲かせる山吹を示し、季節と思慕のよすがとなる花を冒頭に置いている。
二句「花取り持ちて」は、花を手に取ってという動作で、花を見つつ人を思う場面を示している。
三句「つれもなく」は、そっけなく、無情にの意で、去っていった相手への軽い恨みを込めている。
四句「離れにし妹を」の「離る」は離れる、遠ざかる意で、越中へ去った妹(坂上大嬢)を指している。
結句「偲ひつるかも」の「かも」は詠嘆で、偲んでいることだと思慕の情を表して結んでいる。
やまぶき:バラ科の落葉低木、晩春に黄色い花を咲かせる
かる:離れる、遠ざかる
- 作者
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大伴家持の妹
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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霍公鳥飼ひ通せらば今年経て 来向ふ夏はまづ鳴きなむを
- 次の歌
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山吹を宿に植ゑては見るごとに 思ひはやまず恋こそまされ