藤波の花の盛りにかくしこそ
浦漕ぎ廻つつ年に偲はめ
- 歌の意味
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藤の花の盛りに、こうして浦を漕ぎめぐりながら、毎年この地を愛でよう。
- 鑑賞
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巻第十九 4188
詞書は前の歌に続き「六日、布勢の水海に遊覧して作る歌一首并せて短歌」
四月六日に布勢の水海に遊覧した長歌の反歌で、藤の花の盛りにこのように浦を漕ぎめぐりながら、毎年この地を愛でようと詠んでいる。長歌で春の花の盛り、秋の紅葉のころに通い続けて布勢の海を賞でようと述べたのを、藤の盛りの今に焦点を絞ってまとめている。
布勢の水海は現在の富山県氷見市にあった湖で、家持がたびたび遊覧した景勝地である。越中の風土を讃える土地讃めの歌の一つとして知られる。
作者の大伴家持は、大納言大伴旅人の子で、天平十八年(746)から越中守として越中国府(現在の富山県高岡市伏木)に赴任していた。万葉集の編纂に深く関わったとされる奈良時代を代表する歌人である。
初句「藤波の」の「藤波」は、藤の花房が風に揺れるさまを波に見立てた語で、湖畔に咲き垂れる藤を示している。
二句「花の盛りに」は、藤の花が満開のこの時にの意で、遊覧の時を定めている。
三句「かくしこそ」の「し」は強意、「こそ」は係助詞で、このようにしてこそと今の遊覧のありようを強調し、結句の「め」と係り結びをなす。長歌の「かくしこそ」を受けている。
四句「浦漕ぎ廻つつ」は、浦を漕ぎめぐりながらの意で、舟遊びの情景を描いている。
結句「年に偲はめ」の「偲ふ」は賞美する、愛でる意で、「こそ」の結びとして已然形「め」で終わり、毎年愛でようとの意志を表している。
ふぢなみ:藤の花房が風に揺れるさまを波に見立てた語
こぎみる:漕ぎめぐる
しのふ:賞美する、愛でる
- 作者
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大伴家持
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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山吹を宿に植ゑては見るごとに 思ひはやまず恋こそまされ
- 次の歌
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叔羅川瀬を尋ねつつ我が背子は 鵜川立たさね心なぐさに