鵜川立ち取らさむ鮎のしがはたは
我れにかき向け思ひし思はば
- 歌の意味
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鵜飼をしてお捕りになる鮎の、そのひれはこちらへ送ってください。私のことを思ってくださるのなら。
- 鑑賞
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巻第十九 4191
詞書は前の歌に続き「水烏を越前判官大伴宿祢池主に贈る歌一首并せて短歌」
反歌の二首目で、鵜飼をして捕った鮎のひれは私のほうへ送ってほしい、私を思ってくれるならと詠んでいる。鵜を贈った返礼に、獲物の鮎のひれだけでも分けてほしいと冗談めかして求める、戯れの歌である。
親しい友人同士ならではの気安い軽口で、前歌の気遣いの歌と対照的に、ユーモアによって友情を表している。左注に「右、九日に使に附けて贈る」とあり、四月九日に使者に託して鵜とともに贈ったことがわかる。
作者の大伴家持は、大納言大伴旅人の子で、天平十八年(746)から越中守として越中国府(現在の富山県高岡市伏木)に赴任していた。万葉集の編纂に深く関わったとされる奈良時代を代表する歌人である。
初句「鵜川立ち」は、前歌の四句「鵜川立たさね」を受け、鵜飼をしての意である。
二句「取らさむ鮎の」の「す」は尊敬で、池主がお捕りになるであろう鮎をいう。
三句「しがはたは」の「しが」はその、「はた」は魚のひれの意で、鮎のひれを指している。
四句「我れにかき向け」の「かき向く」はこちらへ差し向ける、送り届ける意で、ひれを送ってほしいと求めている。
結句「思ひし思はば」は、もし私のことを思ってくださるならの意で、「し」は強意を表し、条件を添えて戯れに結んでいる。
はた:魚のひれ
かきむく:こちらへ差し向ける、送り届ける
- 作者
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大伴家持
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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叔羅川瀬を尋ねつつ我が背子は 鵜川立たさね心なぐさに
- 次の歌
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霍公鳥鳴く羽触れにも散りにけり 盛り過ぐらし藤波の花