つれもなく離れにしものと人は言へど
逢はぬ日まねみ思ひぞ我がする
- 歌の意味
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そっけなく離れて行ってしまったものと、あなたは言うけれど、逢わない日が重なるので、私のほうこそ思い焦がれているのだ。
- 鑑賞
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巻第十九 4198
詞書は前の歌に続き「京人に贈る歌二首」
都の家持の妹に贈った二首目で、あなたは私がそっけなく去っていったと言うけれど、逢わない日が重なるので、私のほうこそ思い焦がれているのだと応じている。妹が「つれもなく離れにし妹」と恨んだのに対し、その言葉をそのまま取り上げて切り返した返歌である。
左注に「右は、留女の女郎に贈らむために家婦に誂へらえて作るなり」とあり、さらに「女郎はすなはち大伴家持の妹なり」と注されている。家持が妻坂上大嬢に頼まれ、都にいる家持の妹に贈るために代作したもので、本巻の第四千百八十四首への返歌にあたる。
作者の大伴家持は、大伴旅人の子で、越中守として越中国府に赴任していた。この二首は妻坂上大嬢の立場に立って詠んだ代作である。
初句「つれもなく」は、本巻の第四千百八十四首の三句と同じ語で、相手の言葉をそのまま引き取っている。
二句「離れにしものと」も、同歌の四句「離れにし妹を」を受け、相手の言い分を示している。この句は字余りである。
三句「人は言へど」の「人」はここでは相手を指し、逆接の「ど」で反論へと転じている。
四句「逢はぬ日まねみ」の「まねみ」は数が多いのでの意で、逢わない日が重なっていることを理由として示している。
結句「思ひぞ我がする」は、係助詞「ぞ」を受けて連体形「する」で結ぶ係り結びで、私のほうこそ思っているのだと強調して結んでいる。
かる:離れる、遠ざかる
- 作者
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大伴家持
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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妹に似る草と見しより我が標し 野辺の山吹誰れか手折りし
- 次の歌
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藤波の影なす海の底清み 沈く石をも玉とぞ我が見る