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家に行きて何を語らむあしひきの
山霍公鳥一声も鳴け

歌の意味
家に帰って何を土産話にしようか。山のほととぎすよ、せめて一声でも鳴いてくれ。
鑑賞
巻第十九 4203

詞書「霍公鳥の喧かぬことを恨むる歌一首」
 布勢の水海への遊覧の折、ほととぎすが鳴かないことを恨んで詠んだ歌で、家に帰って何を語ろうか、山のほととぎすよせめて一声だけでも鳴いてくれと呼びかけている。藤の花は見られたものの、ほととぎすの声を聞けなかった物足りなさが表れている。
 左注に「判官久米朝臣広縄」とある。遊覧の土産話としてほととぎすの声を求める心は、家持がほととぎすの遅いことを怨んだ本巻の第四千百九十四首から第四千百九十六首の一連とも響き合っている。
 作者の久米広縄は、越中国の掾(国司の第三等官で、判官とも記される)として家持の下で仕えた官人で、家持と歌のやりとりを重ねた人物である。

 初句「家に行きて」は字余りで、遊覧から帰ったあとの家での場面を思い描いている。
 二句「何を語らむ」の「む」は推量で、何を話そうかと問いかけ、ここで切れる二句切れとなっている。
 三句「あしひきの」は「山」にかかる枕詞で、四句の「山霍公鳥」を導いている。
 四句「山霍公鳥」は、山に住むほととぎすへの呼びかけである。
 結句「一声も鳴け」の「も」はせめて〜だけでもの意、「鳴け」は命令形で、せめて一声でもと切実に求めて結んでいる。

やまほととぎす:山に住むほととぎす
作者
久米広縄
出典
万葉集
前の歌
藤波を仮廬に作り浦廻する 人とは知らに海人とか見らむ
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我が背子が捧げて持てるほほがしは あたかも似るか青き蓋