遠音にも君が嘆くと聞きつれば
哭のみし泣かゆ相思ふ我れは
- 歌の意味
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遠く伝え聞いただけでも、あなたが嘆いていると聞いたので、声をあげて泣かずにはいられない。あなたを思う私は。
- 鑑賞
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巻第十九 4215
詞書は前の歌に続き「挽歌一首并せて短歌」反歌二首
母を亡くした娘婿を弔う挽歌の反歌一首目で、遠く伝え聞いただけでも、あなたが嘆いていると聞いたので、あなたを思う私は声をあげて泣くばかりだと詠んでいる。長歌の結びで、遠い便りに聞いて悲しく涙が止まらないと述べたのを受け、相手の悲しみに寄り添う心を表している。
左注に「右、大伴宿祢家持、聟の南の右大臣家の藤原二郎の慈母を喪へる患へを弔ふ。五月二十七日」とある。南家の右大臣藤原豊成の次男で、家持の娘婿とされる人物(藤原継縄とする説が有力)が母を亡くしたのを弔ったものである。
作者の大伴家持は、大納言大伴旅人の子で、天平十八年(746)から越中守として越中国府(現在の富山県高岡市伏木)に赴任していた。万葉集の編纂に深く関わったとされる奈良時代を代表する歌人である。
初句「遠音にも」の「遠音」は遠くから伝わる便りの意で、長歌の結び「遠音にも聞けば悲しみ」を受けている。
二句「君が嘆くと」の「君」は弔う相手の娘婿を指し、その嘆きの様子を示している。
三句「聞きつれば」は、聞いたのでの意で、確定条件として下の句の理由を示している。
四句「哭のみし泣かゆ」の「哭」は泣き声、「し」は強意、「ゆ」は自発で、声をあげて泣かずにはいられないことを表し、ここで切れる四句切れとなっている。
結句「相思ふ我れは」は、互いに思い合う私はの意で、倒置によって泣く主体を最後に示し、親愛の情を込めて結んでいる。
とほと:遠くから伝わる音、遠く離れて伝え聞く便り
ね:泣き声
- 作者
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大伴家持
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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東風をいたみ奈呉の浦廻に寄する波 いや千重しきに恋ひわたるかも
- 次の歌
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世間の常なきことは知るらむを 心尽くすな大夫にして