世間の常なきことは知るらむを
心尽くすな大夫にして
- 歌の意味
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この世が常ならぬものであることは知っているだろう。だから、あまり心をすり減らしなさるな。ますらおの身であるのだから。
- 鑑賞
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巻第十九 4216
詞書は前の歌に続き「挽歌一首并せて短歌」反歌二首
挽歌の反歌二首目で、世の無常はあなたも知っているだろうから、ますらおの身でありながらあまり心をすり減らさないでほしいと、悲しむ娘婿を励ましている。前歌でともに泣いたのに続き、年長者として相手を慰め諭す立場へと転じている。
世の無常を説いて悲しみを和らげようとする点は、本巻の第四千百六十首以下の無常の歌とも通じるが、ここでは弔問の慰めとして用いられている。左注に「右、大伴宿祢家持、聟の南の右大臣家の藤原二郎の慈母を喪へる患へを弔ふ。五月二十七日」とある。南家の右大臣藤原豊成の次男で、家持の娘婿とされる人物(藤原継縄とする説が有力)が母を亡くしたのを弔ったものである。
作者の大伴家持は、大納言大伴旅人の子で、天平十八年(746)から越中守として越中国府(現在の富山県高岡市伏木)に赴任していた。万葉集の編纂に深く関わったとされる奈良時代を代表する歌人である。
初句「世間の」は、この世の中のという意で、普遍的な真理を述べる視点を示している。
二句「常なきことは」は、無常であることはの意で、仏教的な無常観を示している。
三句「知るらむを」の「らむ」は現在推量、「を」は逆接で、知っているだろうにと相手の理解に訴えている。
四句「心尽くすな」の「な」は禁止で、思い悩んで心をすり減らすなと諭し、ここで切れる四句切れとなっている。
結句「大夫にして」は、立派な男子の身であってという意で、倒置によって励ましの根拠を最後に添えて結んでいる。
こころつくす:思い悩んで心をすり減らす
ますらを:立派な男子
- 作者
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大伴家持
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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遠音にも君が嘆くと聞きつれば 哭のみし泣かゆ相思ふ我れは
- 次の歌
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卯の花を腐す長雨の始水に 寄る木屑なす寄らむ子もがも