このしぐれいたくな降りそ我妹子に
見せむがために黄葉取りてむ
- 歌の意味
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この時雨よ、ひどく降らないでくれ。妻に見せるために、紅葉を手折って行こう。
- 鑑賞
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巻第十九 4222
詞書「九月三日の宴の歌二首」
九月三日の宴で詠まれた歌で、時雨にひどく降らないでくれと呼びかけ、妻に見せるために紅葉を手折って持ち帰ろうと詠んでいる。時雨に散らされる前に美しい紅葉を妻へ届けたいという思いが表れている。
左注に「右の一首は、掾久米朝臣広縄作る」とある。広縄はこのころ都の妻のもとへ上る予定があったとも考えられ、次歌で家持が「奈良人」と応じていることからも、妻は奈良にいたことがうかがえる。
作者の久米広縄は、越中国の掾(国司の第三等官で、判官とも記される)として家持の下で仕えた官人で、家持と歌のやりとりを重ねた人物である。
初句「このしぐれ」は、いま降っている秋の時雨を指し、呼びかけの対象としている。
二句「いたくな降りそ」の「な〜そ」は禁止を表し、ひどく降るなと時雨に願い、ここで切れる二句切れとなっている。
三句「我妹子に」は、親しい妻を指し、紅葉を見せたい相手を示している。
四句「見せむがために」は、見せるためにの意で、紅葉を手折る目的を示している。
結句「黄葉取りてむ」の「てむ」は強い意志を表し、紅葉を手折っていこうという決意で結んでいる。
しぐれ:晩秋から初冬にかけて降ったりやんだりする雨
もみち:紅葉した葉
- 作者
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久米広縄
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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かくばかり恋しくしあらばまそ鏡 見ぬ日時なくあらましものを
- 次の歌
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あをによし奈良人見むと我が背子が 標けむ黄葉地に落ちめやも