あしひきの山の黄葉にしづくあひて
散らむ山道を君が越えまく
- 歌の意味
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山の紅葉に雨のしずくが一緒になって散るであろう山道を、あなたが越えて行くことを思うと。
- 鑑賞
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巻第十九 4225
詞書はなく、左注に「右の一首は、同じ月の十六日に、朝集使少目秦伊美吉石竹を餞する時に、守大伴宿祢家持作る」とある
十月十六日、朝集使として都へ上る少目秦石竹を送る宴で詠まれた歌で、山の紅葉に雨のしずくが加わって散るであろう山道を、あなたが越えて行くのだと、旅の苦労を思いやっている。
結句を「越えまく」と体言的に止め、心配する思いを言い尽くさずに余韻として残している。朝集使は国司の勤務評定などを都へ報告に上る使者である。
作者の大伴家持は、大納言大伴旅人の子で、天平十八年(746)から越中守として越中国府(現在の富山県高岡市伏木)に赴任していた。万葉集の編纂に深く関わったとされる奈良時代を代表する歌人である。
初句「あしひきの」は「山」にかかる枕詞である。
二句「山の黄葉に」は、旅路の山々を彩る紅葉を示している。
三句「しづくあひて」は字余りで、雨のしずくと紅葉が一緒になっての意で、雨に濡れて散る紅葉の情景を描いている。
四句「散らむ山道を」の「む」は推量で、これから散るであろう山道を示し、旅人の行く手を思いやっている。
結句「君が越えまく」の「まく」は〜することの意で、あなたが越えて行くことよと、言いさした形で心配の余韻を残して結んでいる。
やまぢ:山道
てうしふし:朝集使、国司の勤務評定などを都へ報告に上る使者
- 作者
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大伴家持
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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朝霧のたなびく田居に鳴く雁を 留め得むかも我が宿の萩
- 次の歌
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この雪の消残る時にいざ行かな 山橘の実の照るも見む