この雪の消残る時にいざ行かな
山橘の実の照るも見む
- 歌の意味
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この雪が消え残っているうちに、さあ出かけよう。ヤブコウジの赤い実が照り映えているのも見よう。
- 鑑賞
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巻第十九 4226
詞書「雪の日に作る歌一首」
雪の日に詠まれた歌で、この雪が消え残っているうちに出かけよう、雪の中に山橘の赤い実が照り映えているのも見ようと誘っている。白い雪と赤い実の色の対比を思い描いた、冬の美しさへの憧れが表れている。
山橘はヤブコウジの古名で、冬に赤い実をつける。左注に「右の一首は、十二月に大伴宿祢家持作る」とあり、天平勝宝二年の暮れの作である。
作者の大伴家持は、大納言大伴旅人の子で、天平十八年(746)から越中守として越中国府(現在の富山県高岡市伏木)に赴任していた。万葉集の編纂に深く関わったとされる奈良時代を代表する歌人である。
初句「この雪の」は、いま降り積もっている雪を示している。
二句「消残る時に」の「消残る」は消え残る意で、雪がまだあるうちにと時を限っている。
三句「いざ行かな」の「いざ」は誘いかけ、「な」は意志や勧誘の終助詞で、さあ行こうと誘い、ここで切れる三句切れとなっている。
四句「山橘の」は、冬に赤い実をつけるヤブコウジを示し、雪の白との対比を準備している。
結句「実の照るも見む」の「照る」は赤い実が照り映える意で、「む」の意志によって見ようと結んでいる。
けのこる:消え残る
やまたちばな:ヤブコウジの古名、冬に赤い実をつける
- 作者
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大伴家持
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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あしひきの山の黄葉にしづくあひて 散らむ山道を君が越えまく
- 次の歌
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ありつつも見したまはむぞ大殿の この廻りの雪な踏みそね