雪の嶋巌に植ゑたるなでしこは
千代に咲かぬか君がかざしに
- 歌の意味
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雪で作った庭の岩に植えたなでしこは、千年も咲き続けてくれないものか。あなたの髪飾りとして。
- 鑑賞
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巻第十九 4232
詞書「遊行女婦蒲生娘子の歌一首」
前歌に続いて縄麻呂の館の宴で詠まれた歌で、雪の作り庭の岩に植えたなでしこが千年も咲き続けて、あなたの髪飾りとなってほしいと願っている。前歌の驚きを受け、造花のなでしこを永遠の繁栄の象徴に転じて主人を寿いでいる。
宴席に侍った遊行女婦が、国司たちの歌に唱和して座を盛り上げたことがわかる歌で、当時の宴の様子を伝えている。
作者の蒲生娘子は、遊行女婦(宴席で歌舞を披露した女性)で、越中の国司たちの宴に侍っていた。伝は詳らかでない。
初句「雪の嶋」の「嶋」は庭園の築山や池などの作り庭をいい、雪で作った庭を示している。
二句「巌に植ゑたる」は、前歌の「雪の巌に」を受け、岩に植えたという造花のなでしこの趣向を示している。
三句「なでしこは」は、前歌の初句と同じ花の名を置き、唱和であることを示している。
四句「千代に咲かぬか」の「ぬか」は願望を表し、千年も咲き続けてほしいと願っている。
結句「君がかざしに」の「かざし」は髪や冠に挿す花で、主人の髪飾りとしてと、寿ぎの心を添えて結んでいる。
しま:庭園の築山や池、作り庭
かざし:髪や冠に挿す花や枝
うかれめ:遊行女婦、宴席で歌舞を披露した女性
- 作者
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蒲生娘子
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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なでしこは秋咲くものを君が家の 雪の巌に咲けりけるかも
- 次の歌
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うち羽振き鶏は鳴くともかくばかり 降り敷く雪に君いまさめやも