鳴く鶏はいやしき鳴けど降る雪の
千重に積めこそ我が立ちかてね
- 歌の意味
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鶏はしきりに鳴くけれど、降る雪が幾重にも積もっているからこそ、私は立ち去りかねているのだ。
- 鑑賞
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巻第十九 4234
詞書「守大伴宿祢家持の和ふる歌一首」
前歌で主人の縄麻呂が客を引き留めたのに答えた歌で、鶏はしきりに鳴くけれど、雪が幾重にも積もっているからこそ立ち去りかねているのだと応じている。雪を理由に挙げながら、実は宴の楽しさゆえに帰りがたいという心を表した挨拶の唱和である。
主人の雪の口実をそのまま受け取って返し、宴の楽しさと主人の厚意への感謝を伝えている。
作者の大伴家持は、大納言大伴旅人の子で、天平十八年(746)から越中守として越中国府(現在の富山県高岡市伏木)に赴任していた。万葉集の編纂に深く関わったとされる奈良時代を代表する歌人である。
初句「鳴く鶏は」は、前歌の「鶏は鳴くとも」を受けている。
二句「いやしき鳴けど」の「いやしく」はいよいよしきりにの意で、鶏が繰り返し鳴いていることを示し、逆接の「ど」で下へ続けている。
三句「降る雪の」は、前歌の「降り敷く雪に」を受けている。
四句「千重に積めこそ」の「千重」は幾重にもの意、「積めこそ」は已然形に「こそ」がついて、積もっているからこそと理由を強調している。
結句「我が立ちかてね」の「かつ」はできる意で、「ね」は打消の已然形として「こそ」の結びとなり、立ち去りかねていると結んでいる。
いやしく:いよいよしきりに〜する
かつ:〜することができる、〜に堪える
- 作者
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大伴家持
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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うち羽振き鶏は鳴くともかくばかり 降り敷く雪に君いまさめやも
- 次の歌
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天雲をほろに踏みあだし鳴る神も 今日にまさりて畏けめやも