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住吉に斎く祝が神言と
行くとも来とも船は早けむ

歌の意味
住吉の神に仕える神職が告げる神のお告げでは、行くときも帰るときも、船は速やかであろうということだ。
鑑賞
巻第十九 4243

詞書「民部少輔多治比真人土作の歌一首」
 遣唐使を送る宴で詠まれた歌で、住吉の神に仕える神職が告げた神のお告げとして、行きも帰りも船は速やかであろうと述べ、航海の無事を保証して使節たちを励ましている。
 住吉の神は航海の守り神として信仰され、遣唐使も出航に際して住吉に祈った。神のお告げという形をとることで、送別の言葉に確かな力を添えている。藤原清河を大使とする遣唐使は天平勝宝二年(750)に任命され、同四年(752)に難波を出航した。
 作者の多治比土作は、奈良時代の官人で、このころ民部少輔の職にあった。のちに参議に昇っている。

 初句「住吉に」は、航海の守り神を祭る住吉の地を示している。
 二句「斎く祝が」の「祝」は神に仕える神職で、神意を伝える者を示している。
 三句「神言と」の「神言」は神のお告げの意で、以下の内容が神意であることを示している。
 四句「行くとも来とも」は、行くときも帰るときもの意で、往復の航海全体を示している。
 結句「船は早けむ」の「早けむ」は速やかであろうの意で、航海の無事を予言するように結んでいる。

はふり:神に仕える神職
かむごと:神のお告げ
作者
多治比土作
出典
万葉集
前の歌
天雲の行き帰りなむものゆゑに 思ひぞ我がする別れ悲しみ
次の歌
あらたまの年の緒長く我が思へる 子らに恋ふべき月近づきぬ