あらたまの年の緒長く我が思へる
子らに恋ふべき月近づきぬ
- 歌の意味
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長い年月にわたって私が思い続けてきた妻と別れ、恋い慕わねばならない月が近づいてきた。
- 鑑賞
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巻第十九 4244
詞書「大使藤原朝臣清河の歌一首」
遣唐大使藤原清河が送別の宴で詠んだ歌で、長い年月思い続けてきた妻と別れて、遠く恋い慕わねばならない月が近づいてきたと、出発を前にした別れの悲しみを詠んでいる。
公の使命を帯びた大使でありながら、家に残す妻への私的な思いを率直に述べている点に、人間らしい情感が表れている。藤原清河を大使とする遣唐使は天平勝宝二年(750)に任命され、同四年(752)に難波を出航した。
作者の藤原清河は、藤原房前の子で、光明皇后の甥にあたる。遣唐大使として唐に渡ったが、帰国の船が難破して唐に戻り、ついに帰国を果たせないまま唐で没した。
初句「あらたまの」は「年」にかかる枕詞である。
二句「年の緒長く」の「年の緒」は年月が長く続くさまをいい、長い年月にわたっての意となる。
三句「我が思へる」は字余りで、私が思い続けてきたの意で、妻への長年の愛情を示している。
四句「子らに恋ふべき」の「子ら」は愛する女性、妻をいい、離れて恋い慕わねばならないことを示している。
結句「月近づきぬ」の「ぬ」は完了で、出発の月がついに近づいたことを示し、別れの迫る切なさを表して結んでいる。
としのを:年月の長く続くさま、歳月
こら:愛する女性、妻
- 作者
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藤原清河
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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住吉に斎く祝が神言と 行くとも来とも船は早けむ
- 次の歌
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沖つ波辺波な越しそ君が船 漕ぎ帰り来て津に泊つるまで