沖つ波辺波な越しそ君が船
漕ぎ帰り来て津に泊つるまで
- 歌の意味
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沖の波も岸辺の波も、船べりを越えないでくれ。あなたの船が漕ぎ帰って来て、港に停泊するまでは。
- 鑑賞
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巻第十九 4246
詞書は前の歌に続き「天平五年、入唐使に贈る歌一首并せて短歌[作主いまだ詳らかならず]」反歌一首
天平五年(733)の遣唐使に贈られた長歌の反歌で、沖の波も岸辺の波も船べりを越えるな、あなたの船が漕ぎ帰って港に停泊するまではと、航海の無事を祈っている。長歌で、住吉の大神に船の舳に立って守り、無事に連れ帰ってほしいと祈ったのを受けている。
天平五年の遣唐使は多治比広成を大使とするもので、清河の一行より前の使節である。左注によれば、これも越中の官人高安種麻呂が伝え誦んだ古歌で、作者は明らかでない。
初句「沖つ波」の「つ」は「の」の意の古い格助詞で、沖の波を示している。
二句「辺波な越しそ」の「辺波」は岸辺に寄せる波、「な〜そ」は禁止で、波よ船べりを越えるなと願い、ここで切れる二句切れとなっている。
三句「君が船」は、遣唐使の乗る船を示している。
四句「漕ぎ帰り来て」は、無事に漕ぎ帰って来ての意で、帰国の情景を思い描いている。
結句「津に泊つるまで」の「津」は港、「泊つ」は船が停泊する意で、帰着の時までと期限を示して結んでいる。
へなみ:岸辺に寄せる波
はつ:船が港に着いて泊まる
つ:港、船着き場
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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あらたまの年の緒長く我が思へる 子らに恋ふべき月近づきぬ
- 次の歌
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天雲のそきへの極み我が思へる 君に別れむ日近くなりぬ