しなざかる越に五年住み住みて
立ち別れまく惜しき宵かも
- 歌の意味
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遠く離れた越の国に五年住み続けて、いよいよ立ち別れることになるのが惜しい今宵であることよ。
- 鑑賞
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巻第十九 4250
詞書「便ち大帳使に附きて、八月五日を取りて京師に入らむとす。これによりて、四日を以ちて国厨の饌を介内蔵伊美吉縄麻呂の館に設けて餞す。時に大伴宿祢家持の作る歌一首」
越中を去る前夜、介の内蔵縄麻呂の館で開かれた送別の宴で詠まれた歌で、遠い越の国に五年住み続けて、いよいよ別れることになるのが惜しい今宵だと、越中への名残を惜しんでいる。
家持は大帳使を兼ねて都へ上ることになり、出立の前日に国司たちが送別の宴を設けた。「住み住みて」の繰り返しに、五年の歳月の重みと、越中での暮らしへの深い愛着がこもっている。
作者の大伴家持は、大納言大伴旅人の子で、天平十八年(746)から越中守として越中国府(現在の富山県高岡市伏木)に赴任していた。万葉集の編纂に深く関わったとされる奈良時代を代表する歌人である。
初句「しなざかる」は「越」にかかる枕詞である。
二句「越に五年」は、越の国に五年の意で、赴任の歳月を具体的に示している。
三句「住み住みて」は、「住み」を重ねることで、住み続けてきた年月の長さと重みを表している。
四句「立ち別れまく」の「まく」は〜することの意で、立ち別れることを示している。
結句「惜しき宵かも」の「かも」は詠嘆で、別れを惜しむ今宵であることよと結んでいる。
しなざかる:「越」にかかる枕詞
だいちやうし:大帳使、計帳を中央へ届ける使者
- 作者
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大伴家持
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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石瀬野に秋萩しのぎ馬並めて 初鷹猟だにせずや別れむ
- 次の歌
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玉桙の道に出で立ち行く我れは 君が事跡を負ひてし行かむ