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立ちて居て待てど待ちかね出でて来し
君にここに逢ひかざしつる萩

歌の意味
立ったり座ったりして待ちに待ちかねて出て来たが、そのあなたにここで逢うことができて、髪に挿した萩であることよ。
鑑賞
巻第十九 4253

詞書「大伴宿祢家持の和ふる歌一首」
 前歌の広縄の歌に和したもので、広縄の帰りを立ったり座ったりして待ちかねたまま越中を出て来たが、そのあなたにここで逢えて、ともに髪に挿した萩であることよと、思いがけない再会の喜びを詠んでいる。
 家持は広縄の帰任を待たずに越中を発たねばならず、別れの歌を館に残してきていた。それだけに越前での再会の喜びはひとしおで、四句と結句の字余りにも、あふれる思いが表れている。
 作者の大伴家持は、大納言大伴旅人の子で、五年あまり越中守を務めたのち、天平勝宝三年(751)に少納言に任じられ、都へ上る途上にあった。万葉集の編纂に深く関わったとされる歌人である。

 初句「立ちて居て」は、立ったり座ったりしての意で、落ち着かずに待つさまを表している。
 二句「待てど待ちかね」の「待ちかぬ」は待ちきれない意で、「待つ」を重ねて待つ思いの強さを示している。
 三句「出でて来し」は、越中を出て来たの意で、広縄を待たずに旅立ったことを示している。
 四句「君にここにあひ」は字余りで、あなたにここで逢えての意で、思いがけない再会を示している。
 結句「かざしつる萩」は字余りの体言止めで、前歌の「萩の初花を折りてかざさな」を受け、ともに挿した萩で結んでいる。

まちかぬ:待ちきれない
作者
大伴家持
出典
万葉集
前の歌
君が家に植ゑたる萩の初花を 折りてかざさな旅別るどち
次の歌
秋の花種にあれど色ごとに 見し明らむる今日の貴さ