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手束弓手に取り持ちて朝狩りに
君は立たしぬ棚倉の野に

歌の意味
手束弓を手に取り持って、朝の狩りに、わが君はお出かけになった。棚倉の野へ。
鑑賞
巻第十九 4257

詞書「十月二十二日、左大弁紀飯麻呂朝臣の家にして宴する歌三首」
 左大弁紀飯麻呂の家での宴で伝誦された古歌で、手束弓を手に取り持って、わが君は朝の狩りに棚倉の野へとお出かけになったと、狩りに出る貴人の凛々しい姿を描いている。
 左注に「右の一首は、治部卿船王伝誦す。久邇の京都の時の歌[作主いまだ詳らかならず]」とあり、聖武天皇が久邇京に都を置いた天平十二年(740)から同十六年(744)ごろの歌で、「君」は聖武天皇を指すとする説がある。棚倉は久邇京に近い現在の京都府木津川市のあたりである。家持が帰京後に列した宴で、こうした古歌が披露されたことがわかる。

 初句「手束弓」は、手に握る部分の太い弓、または手に握り持つ弓の意で、狩りの道具を冒頭に示している。
 二句「手に取り持ちて」は、弓を手に取り持っての意で、狩りに向かう姿を描いている。
 三句「朝狩りに」は、朝の狩りにの意で、清新な朝の情景を示している。
 四句「君は立たしぬ」の「す」は尊敬、「ぬ」は完了で、わが君はお出かけになったと述べ、ここで切れる四句切れとなっている。
 結句「棚倉の野に」は、倒置によって狩りの場所を最後に示して結んでいる。

たつかゆみ:手に握る部分の太い弓、または手に握り持つ弓
出典
万葉集
前の歌
いにしへに君が三代経て仕へけり 我が大主は七代申さね
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明日香川川門を清み後れ居て 恋ふれば都いや遠そきぬ