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明日香川川門を清み後れ居て
恋ふれば都いや遠そきぬ

歌の意味
明日香川の渡り場が清らかなので、そこに残っていて恋い慕っていると、都はいよいよ遠ざかってしまった。
鑑賞
巻第十九 4258

詞書は前の歌に続き「十月二十二日、左大弁紀飯麻呂朝臣の家にして宴する歌三首」
 紀飯麻呂の家の宴で伝誦された古歌で、明日香川の渡り場が清らかなので、そこを離れがたく残っていて新しい都を恋い慕っていると、都はいよいよ遠く離れてしまったと詠んでいる。遷都によって旧都に取り残された人の感慨が表れている。
 左注に「右の一首は、左中弁中臣朝臣清麻呂伝誦す。古き京の時の歌なり」とあり、飛鳥や藤原の旧都の時代の歌と考えられる。前歌の久邇京の歌に続き、都の移り変わりにまつわる古歌が宴で披露されている。作者は明らかでない。

 初句「明日香川」は、旧都飛鳥を流れる川を示している。
 二句「川門を清み」の「川門」は川の渡り場、「〜を〜み」は原因を表し、渡り場が清らかなのでの意となる。
 三句「後れ居て」の「後る」は後に残る意で、旧都に残された身を示している。
 四句「恋ふれば都」は、恋い慕っていると、都はの意で、新しい都への思いを示している。
 結句「いや遠そきぬ」の「いや」はいよいよ、「そく」は遠ざかる意で、都が遠く離れていく寂しさを表して結んでいる。

かはと:川の渡り場
おくる:後に残る
そく:遠ざかる、離れる
出典
万葉集
前の歌
手束弓手に取り持ちて朝狩りに 君は立たしぬ棚倉の野に
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十月時雨の常か我が背子が 宿の黄葉散りぬべく見ゆ