唐国に行き足らはして帰り来む
ますら健男に御酒奉る
- 歌の意味
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唐の国へ行って務めを十分に果たして帰って来る、勇ましい男子に、御酒を差し上げる。
- 鑑賞
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巻第十九 4262
詞書「閏三月、衛門督大伴古慈悲宿祢の家にして、入唐副使同じき胡麻呂宿祢らを餞する歌二首」
天平勝宝四年(752)閏三月、大伴古慈悲の家で遣唐副使大伴古麻呂らを送る宴で詠まれた歌で、唐の国で務めを十分に果たして帰って来る勇ましい男子に御酒を差し上げると、副使の壮途を祝している。
左注に「右の一首は、多治比真人鷹主、副使大伴胡麻呂宿祢を寿く」とある。古麻呂はこの遣唐使の帰途、唐の高僧鑑真を自らの船に乗せて日本に迎えたことで知られる。左注に「右の件の歌は、伝誦するは大伴宿祢村上、同じき清継らこれなり」とあり、大伴一族の人々によって伝えられた。
作者の多治比鷹主は、奈良時代の官人で、のちに橘奈良麻呂の変に加わったとされる人物である。
初句「唐国に」は、遣唐使の赴く唐の国を示している。
二句「行き足らはして」の「行き足らはす」は行って務めを十分に果たす意で、使命の完遂を願っている。
三句「帰り来む」は、帰って来るであろうの意で、無事の帰国を確信するように述べている。
四句「ますら健男に」の「ますら健男」は勇ましく立派な男子の意で、副使古麻呂を讃えている。
結句「御酒奉る」の「御酒」は酒の美称で、副使に酒を捧げて祝う儀礼の心を示して結んでいる。
ゆきたらはす:行って務めを十分に果たす
みき:神や貴人に供える酒、酒の美称
ますらたけを:勇ましく立派な男子
- 作者
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多治比鷹主
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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大君は神にしませば水鳥の すだく水沼を都と成しつ
- 次の歌
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櫛も見じ屋内も掃かじ草枕 旅行く君を斎ふと思ひて