- 歌の意味
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櫛も手に取るまい、家の中も掃くまい。旅に行くあなたの無事を祈って身を慎もうと思って。
- 鑑賞
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巻第十九 4263
詞書は前の歌に続き「閏三月、衛門督大伴古慈悲宿祢の家にして、入唐副使同じき胡麻呂宿祢らを餞する歌二首」
遣唐副使大伴古麻呂らを送る宴で伝誦された歌で、旅に出るあなたの無事を祈って身を慎むために、櫛も手に取らず、家の中も掃くまいと詠んでいる。旅人の留守中に家の者が髪を梳いたり掃除をしたりすることを慎む、古代の物忌みの風習が背景にある。
家で待つ者の立場から旅の無事を祈る歌で、前歌の祝いの歌と対になっている。原文には「作者いまだ詳らかならず」という原注があり、作者は明らかでない。左注に「右の件の歌は、伝誦するは大伴宿祢村上、同じき清継らこれなり」とあり、大伴一族の人々によって伝えられた。
初句「櫛も見じ」の「じ」は打消の意志で、櫛を手に取るまいと、髪を梳くことを慎む決意を示している。
二句「屋内も掃かじ」の「屋内」は家の中で、掃除を慎む決意を示し、初句と対句をなしている。ここで切れる二句切れとなっている。
三句「草枕」は「旅」にかかる枕詞である。
四句「旅行く君を」は、遣唐使として旅立つ人を示している。
結句「斎ふと思ひて」の「斎ふ」は身を清め慎んで無事を祈る意で、物忌みの理由を倒置によって最後に示して結んでいる。
やぬち:家の中
くさまくら:「旅」にかかる枕詞
いはふ:身を清め慎んで無事を祈る
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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唐国に行き足らはして帰り来む ますら健男に御酒奉る
- 次の歌
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四つの船早帰り来としらか付け 我が裳の裾に斎ひて待たむ