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四つの船早帰り来としらか付け
我が裳の裾に斎ひて待たむ

歌の意味
四隻の船が早く帰って来るようにと、白香を付けて、私の裳の裾に祈りを込めて待っていよう。
鑑賞
巻第十九 4265

詞書は前の歌に続き「従四位上高麗朝臣福信に勅して難波に遣はし、酒肴を入唐使藤原朝臣清河らに賜ふ御歌一首并せて短歌」反歌一首
 孝謙天皇が高麗福信を難波に遣わして、遣唐大使藤原清河らに酒肴を賜った際の長歌の反歌で、四隻の船が早く帰って来るようにと、白香を付けて自らの裳の裾に祈りを込めて待とうと詠んでいる。長歌で、大和の国は大神の守る国であるから、四つの船は無事に渡って帰り、復命する日にこの酒を酌み交わそうと述べたのを受けている。
 遣唐使船は四隻で編成されるのが通例で、「四つの船」はその一行全体を指す。天皇自らが神事の具を身につけて祈るという表現に、使節への深い思いが表れている。左注に「右、勅使を発遣し、并せて酒を賜ふ楽宴の日月はいまだ詳審らかにすることを得ず」とある。
 作者の孝謙天皇は、聖武天皇と光明皇后の娘で、天平勝宝元年(749)に即位した女帝である。のちに重祚して称徳天皇となった。

 初句「四つの船」は、四隻からなる遣唐使船の一行全体を示している。
 二句「早帰り来と」の「来」は命令形で、早く帰って来いと願う内容を示している。
 三句「しらか付け」の「しらか」は麻や楮の繊維を白くさらして神事に用いたもので、祈りの具を身につけることを示している。
 四句「我が裳の裾に」の「裳」は女性が腰から下にまとった衣で、女帝自らが祈りを込める姿を示している。
 結句「斎ひて待たむ」の「斎ふ」は身を慎んで無事を祈る意、「む」は意志で、祈りつつ帰りを待とうと結んでいる。

しらか:麻や楮の繊維を白くさらして神事に用いたもの
も:女性が腰から下にまとった衣
いはふ:身を清め慎んで無事を祈る
作者
孝謙天皇
出典
万葉集
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櫛も見じ屋内も掃かじ草枕 旅行く君を斎ふと思ひて
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天皇の御代万代にかくしこそ 見し明きらめめ立つ年の端に