よそのみに見ればありしを今日見ては
年に忘れず思ほえむかも
- 歌の意味
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これまでは遠くから見ているばかりであったが、今日こうして間近に見ては、この先いつまでも忘れられず思い出されることだろう。
- 鑑賞
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巻第十九 4269
詞書「十一月八日、左大臣橘朝臣の宅に在して肆宴したまふ歌四首」
聖武太上天皇が橘諸兄の邸での宴で詠んだ御歌で、これまでは遠くから見るばかりであったこの邸を、今日訪れて間近に見たからには、年月を経ても忘れられずに思い出されるだろうと、主人の邸を讃えている。
天平勝宝四年(752)十一月八日、聖武太上天皇が左大臣橘諸兄の邸に行幸して催された肆宴(天皇が臣下に賜る宴)での歌である。左注に「右の一首は、太上天皇の御歌」とある。行幸を受けた諸兄への厚い信任と親しみが表れている。
作者の聖武天皇は、文武天皇の子で、東大寺の大仏造立を発願したことで知られる。天平勝宝元年(749)に娘の孝謙天皇に譲位し、このころは太上天皇であった。
初句「よそのみに」の「よそ」は遠く離れたところの意で、これまでは遠くから見るばかりであったことを示している。
二句「見ればありしを」の「を」は逆接で、そうであったのにと、今日との対比を準備している。
三句「今日見ては」は、今日こうして間近に見てはの意で、行幸の今日を示している。
四句「年に忘れず」は、年が経っても忘れずにの意である。
結句「思ほえむかも」の「思ほゆ」は自然と思われる意、「かも」は詠嘆で、いつまでも思い出されるだろうと結んでいる。
よそ:遠く離れたところ
しえん:肆宴、天皇が臣下に賜る宴
- 作者
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聖武天皇
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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この里は継ぎて霜や置く夏の野に 我が見し草はもみちたりけり
- 次の歌
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葎延ふ賎しき宿も大君の 座さむと知らば玉敷かましを