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天にはも五百つ綱延ふ万代に
国知らさむと五百つ綱延ふ

歌の意味
天には数多くの綱を張り渡している。万代まで国をお治めになろうと、数多くの綱を張り渡している。
鑑賞
巻第十九 4274

詞書は前の歌に続き「二十五日、新嘗会の肆宴にして詔に応ふる歌六首」
 新嘗祭の肆宴での二首目で、天には数多くの綱を張り渡している、万代まで国をお治めになろうとして数多くの綱を張り渡していると、新嘗祭の殿舎に張りめぐらされた綱に天皇の治世の永続を重ねて寿いでいる。
 二句と結句に「五百つ綱延ふ」を繰り返す古風な形式で、原文には「古歌に似て未だ詳らかならず」という原注があり、古歌に似た形であることが指摘されている。左注に「右の一首は、式部卿石川年足朝臣」とある。
 作者の石川年足は、蘇我氏の流れをくむ石川氏の公卿で、このころ式部卿であった。のちに大納言に至っている。

 初句「天にはも」の「は」「も」は強意で、天の高みを示している。
 二句「五百つ綱延ふ」の「五百つ綱」は数多くの綱、「延ふ」は綱などを長く張り渡す意で、新嘗祭の殿舎の綱を示し、ここで切れる二句切れとなっている。
 三句「万代に」は、万代までの意で、治世の永遠を示している。
 四句「国知らさむと」の「知らす」は治めるの尊敬語で、お治めになろうとしての意となる。
 結句「五百つ綱延ふ」は二句の繰り返しで、歌謡的な反復によって寿ぎを強めて結んでいる。

いほつつな:数多くの綱
はふ:綱などを長く張り渡す
しらす:お治めになる
作者
石川年足
出典
万葉集
前の歌
天地と相栄えむと大宮を 仕へまつれば貴く嬉しき
次の歌
天地と久しきまでに万代に 仕へまつらむ黒酒白酒を