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新しき年の初めに思ふどち
い群れて居れば嬉しくもあるか

歌の意味
新しい年の初めに、気心の知れた者同士が群れ集っていると、嬉しいことであるよ。
鑑賞
巻第十九 4284

詞書は前の歌に続き「五年正月四日、治部少輔石上朝臣宅嗣の家にして宴する歌三首」
 石上宅嗣の家での宴の三首目で、新しい年の初めに、気の合う仲間同士が群れ集っていると嬉しいと、新年の宴の喜びを率直に詠んでいる。前の二首が梅と恋の譬喩を楽しんだのを受け、宴そのものの喜びで三首を締めくくっている。
 初句と二句の「新しき年の初め」は、本巻の第四千二百二十九首の家持の歌と同じ表現で、新年の宴の歌の常套句として響き合っている。左注に「右の一首は、大膳大夫道祖王」とある。
 作者の道祖王は、新田部親王の子で天武天皇の孫にあたる。のちに聖武太上天皇の遺詔によって皇太子に立てられたが、間もなく廃された。

 初句「新しき」は、改まった新年の気分を示している。
 二句「年の初めに」は、正月の宴という場を示している。
 三句「思ふどち」は、気の合う仲間同士の意で、宴に集った人々を示している。
 四句「い群れて居れば」の「い」は接頭語、「群る」は群れ集まる意で、仲間が集うさまを示している。
 結句「嬉しくもあるか」は字余りで、「か」は詠嘆を表し、新年の宴の喜びを率直に表して結んでいる。

おもふどち:気の合う仲間同士
いむる:群れ集まる
作者
道祖王
出典
万葉集
前の歌
梅の花咲けるが中にふふめるは 恋か隠れる雪を待つとか
次の歌
大宮の内にも外にもめづらしく 降れる大雪な踏みそね惜し