- 歌の意味
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春の野に霞がたなびいて、なんとなくもの悲しい。この夕暮れの光の中で、うぐいすが鳴いている。
- 鑑賞
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巻第十九 4290
詞書「二十三日、興に依りて作る歌二首」
天平勝宝五年(753)二月二十三日に興にまかせて詠んだ歌で、春の野に霞がたなびいて、なんとなくもの悲しい、この夕暮れの光の中でうぐいすが鳴いていると、春の夕べの愁いを詠んでいる。
この歌から本巻の第四千二百九十二首までの三首は「春愁三首」と呼ばれ、家持の歌境の到達点として高く評価されている。明るい春の景の中に理由の定かでない憂愁を見出す繊細な感覚は、近代以降の短歌にも通じるものとされる。
作者の大伴家持は、大納言大伴旅人の子で、天平勝宝三年(751)に少納言に任じられて越中から平城京に戻り、都の官人として宮廷の宴にも列していた。万葉集の編纂に深く関わったとされる歌人である。
初句「春の野に」は、広々とした春の野を示し、情景を設定している。
二句「霞たなびき」は、霞が横にたなびくさまを描き、ぼんやりと霞む春の景を示している。
三句「うら悲し」の「うら」は心の意で、なんとなくもの悲しいと、理由の定かでない愁いを表し、ここで切れる三句切れとなっている。
四句「この夕影に」の「夕影」は夕暮れの光の意で、時刻を夕べに定めている。
結句「鴬鳴くも」の「も」は詠嘆で、うぐいすの声が愁いをいっそう深めることを示して結んでいる。
ゆふかげ:夕暮れの光、夕日の光
- 作者
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大伴家持
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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青柳の上枝攀ぢ取りかづらくは 君が宿にし千年寿くとぞ
- 次の歌
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我が宿のい笹群竹吹く風の 音のかそけきこの夕かも