高円の尾花吹き越す秋風に
紐解き開けな直ならずとも
- 歌の意味
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高円の尾花の上を吹き越してくる秋風に、衣の紐を解き開けよう。じかに恋しい人に逢うのではなくとも。
- 鑑賞
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巻第二十 雑歌 4295
詞書「天平勝宝五年八月十二日、二三の大夫等、各壺酒を提げて高円の野に登り、聊かに所心を述べて作る歌三首」
高円の尾花を吹き越してくる秋風に、衣の紐を解いて身をさらそう、恋人にじかに逢うのではなくともと詠んだ一首である。詞書によれば、二、三人の官人がそれぞれ酒壺を提げて高円の野に登り、思いを述べ合った宴の歌の一首目である。紐を解くのは本来恋人と逢う時のしぐさであり、それを秋風に向けて行おうという戯れに、野遊びの解放感がこめられている。
作者の大伴池主は大伴氏の一族で、越中掾として国守大伴家持と多くの贈答を交わした人物である。この時は左京少進であった。
初句「高円の」は奈良の都の東、春日山の南に続く高円山一帯の野を指す。一連の三首はいずれも「高円」を詠み込んでいる。
二句「尾花吹き越す」は尾花の穂の上を風が吹き越えていく様子で、秋の野の景を示す。
三句「秋風に」は風に向かって、という対象を示す。
四句「紐解き開けな」の「な」は自己の意志を表す終助詞で、紐を解き開けようの意である。ここで句切れとなる。
結句「直ならずとも」は、恋人とじかに逢うのではないにしても、の意で、倒置によって四句の行為の背景を後から添えている。
をばな:穂の出た薄
ひも:衣を結ぶ紐。恋人と逢う時に解くものとされた
- 作者
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大伴池主
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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あしひきの山に行きけむ山人の 心も知らず山人や誰れ
- 次の歌
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天雲に雁ぞ鳴くなる高円の 萩の下葉はもみちあへむかも