天雲に雁ぞ鳴くなる高円の
萩の下葉はもみちあへむかも
- 歌の意味
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空の雲のあたりで雁が鳴いているのが聞こえる。高円の萩の下葉は、もう色づききっているだろうか。
- 鑑賞
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巻第二十 雑歌 4296
詞書は前の歌に続き「天平勝宝五年八月十二日、二三の大夫等、各壺酒を提げて高円の野に登り、聊かに所心を述べて作る歌三首」
空に雁の声を聞き、高円の萩の下葉はもう色づききっただろうかと思いやる一首である。高円の野遊びの宴で、雁の到来と萩の黄葉という秋の景物を取り合わせ、季節の移りを詠んでいる。雁の声が草木の色づきを促すという発想は万葉集にしばしば見え、それを踏まえた詠みぶりである。
作者の中臣清麻呂は中臣意美麻呂の子で、のちに大中臣の姓を賜り右大臣に至った。この時は左中弁であった。
初句「天雲に」は空の雲のあたりにの意で、雁の声が高みから届くことを示す。
二句「雁ぞ鳴くなる」の「ぞ」は係助詞で、結びは連体形の「なる」となる係り結びである。「なる」は音によって判断する推定の助動詞で、声が聞こえるの意である。ここで句切れとなる。
三句「高円の」は前歌の初句と同じ地名で、一連の舞台を受け継いでいる。
四句「萩の下葉は」は萩の下の方の葉で、萩は下葉から色づくとされた。
結句「もみちあへむかも」の「あふ」は完全にし終える意の補助動詞で、「む」「かも」で、色づききっているだろうかと推量し詠嘆して結ぶ。
もみつ:草木の葉が色づく
あふ:動詞に付き、すっかり〜しきる意を添える
- 作者
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中臣清麻呂
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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高円の尾花吹き越す秋風に 紐解き開けな直ならずとも
- 次の歌
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をみなへし秋萩しのぎさを鹿の 露別け鳴かむ高円の野ぞ