をみなへし秋萩しのぎさを鹿の
露別け鳴かむ高円の野ぞ
- 歌の意味
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女郎花や秋萩を押し分けて、牡鹿が露を分けながら鳴くであろう高円の野であるよ。
- 鑑賞
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巻第二十 雑歌 4297
詞書は前の歌に続き「天平勝宝五年八月十二日、二三の大夫等、各壺酒を提げて高円の野に登り、聊かに所心を述べて作る歌三首」
女郎花や秋萩を押し分け、牡鹿が露を分けて鳴くであろう高円の野であると、野の景を讃えて一連を締めくくる一首である。前の二首が風と雁を詠んだのに続き、地上の草花と鹿を取り上げ、秋の高円の野の豊かさを一首に集めている。
作者の大伴家持は大伴旅人の子で、万葉集の編纂に深く関わったとされる歌人である。この時は少納言であった。
初句「をみなへし」は秋の七草の一つで、黄色の小花をつける。前歌の萩とともに秋の野の代表的な花である。
二句「秋萩しのぎ」の「しのぐ」は押し伏せる、押し分ける意で、鹿が草花を分けて進む姿を描く。
三句「さを鹿の」の「さ」は接頭語で、牡鹿を指す。秋に妻を呼んで鳴く鹿は萩と取り合わせて詠まれることが多い。
四句「露別け鳴かむ」の「む」は推量で、鹿が露を分けて鳴くであろうと、まだ見ぬ夕べの情景を思い描いている。
結句「高円の野ぞ」は「ぞ」で強めた体言止めで、前の二首と同じ「高円」を結句に置き、一連の舞台を改めて示して結んでいる。
しのぐ:押し伏せる。押し分けて進む
さをしか:牡鹿
- 作者
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大伴家持
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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天雲に雁ぞ鳴くなる高円の 萩の下葉はもみちあへむかも
- 次の歌
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霜の上に霰た走りいやましに 我れは参ゐ来む年の緒長く