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霜の上に霰た走りいやましに
我れは参ゐ来む年の緒長く

歌の意味
霜の上に霰が激しく降り走るように、いよいよ回を重ねて私は参上しよう、年月長く。
鑑賞
巻第二十 雑歌 4298

詞書「六年正月四日、氏人等賀きて少納言大伴宿禰家持の宅に集ひて宴飲する歌三首」
 霜の上に霰が降りしきるように、いよいよ回を重ねて年長く参上しようと、氏の長である家持への敬慕を述べた賀の一首である。詞書によれば、天平勝宝六年の正月四日、大伴氏の人々が家持の邸に集って新年を祝った宴の歌である。原文の末尾には、古い歌か今の作か未詳であるとの注記が添えられている。
 作者の大伴千室は大伴氏の一族で、この時は左兵衛督であったが、詳しい経歴は伝わらない。

 初句「霜の上に」は冬の朝の地上の景を示し、正月の宴の季節感を添えている。
 二句「霰た走り」の「た」は接頭語で、霰が勢いよく跳ねるように降る様をいう。初句と二句は霜の上に霰が重なることから「いやましに」を導く序詞である。
 三句「いやましに」はいよいよ増して、ますますの意で、序詞の景から心情へと転じる要の句である。
 四句「我れは参ゐ来む」の「む」は意志で、家持の邸へ参上しようという。
 結句「年の緒長く」は年月を緒にたとえた表現で、長く続くことを願う賀歌の常套の結びである。次歌も年月の長さを詠み、一連は新年を祝う心でそろえられている。

たばしる:勢いよく飛び散る
まゐく:参上する
としのを:年月の長く続くことを緒にたとえた語
作者
大伴千室
出典
万葉集
前の歌
をみなへし秋萩しのぎさを鹿の 露別け鳴かむ高円の野ぞ
次の歌
年月は新た新たに相見れど 我が思ふ君は飽き足らぬかも