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秋と言へば心ぞ痛きうたて異に
花になそへて見まく欲りかも

歌の意味
秋というと心が痛む。ひどく格別に、花になぞらえて恋しい人を見たいと思うからだろうか。
鑑賞
巻第二十 雑歌 4307

詞書は前の歌に続き「七夕の歌八首」
 秋といえば心が痛む、ことさらに花になぞらえて恋しい人を見たいと思うからだろうかと、七夕の季節を迎えた恋の切なさを詠んだ一首である。家持が独り天の川を仰いで作った八首の二首目で、逢瀬を待つ者の心のうずきを、秋の花に寄せる思いとして表している。
 作者の大伴家持は大伴旅人の子で、この時は兵部少輔であった。

 初句「秋と言へば」は秋という季節を話題にすると、の意で、七夕の時節を示す。
 二句「心ぞ痛き」は「ぞ」の係り結びで、連体形「痛き」で結ぶ。ここで句切れとなる。
 三句「うたて異に」の「うたて」はひどく、異様にの意、「異に」はことさらにの意で、心の痛みの甚だしさを重ねている。
 四句「花になそへて」は花になぞらえての意で、秋の花に恋しい人の面影を重ねる。
 結句「見まく欲りかも」の「まく欲り」は見たいと望む意で、「かも」は疑問を含む詠嘆である。心の痛みの理由を自らに問いかけて結ぶ。

なそふ:なぞらえる。たとえる
作者
大伴家持
出典
万葉集
前の歌
初秋風涼しき夕解かむとぞ 紐は結びし妹に逢はむため
次の歌
初尾花花に見むとし天の川 へなりにけらし年の緒長く