秋草に置く白露の飽かずのみ
相見るものを月をし待たむ
- 歌の意味
-
秋草に置く白露のように、飽きることなく逢っていたいのに、また巡って来る月日を待たねばならないのだろうか。
- 鑑賞
-
巻第二十 雑歌 4312
詞書は前の歌に続き「七夕の歌八首」
秋草に置く白露のように飽きることなく逢っていたいのに、また月日の巡りを待たねばならないのかと、逢瀬の短さを嘆く一首である。家持が独り天の川を仰いで作った八首の七首目である。結句の「月」を一年の月日と解する説のほか、月の出を待つと解する説もある。
作者の大伴家持は大伴旅人の子で、この時は兵部少輔であった。
初句「秋草に」は露の置く場所を示し、七夕の頃の野の景である。
二句「置く白露の」は「置く」と「飽く」の音の響きを通わせ、初句と二句で「飽かず」を導く序詞となっている。前歌の「月かたぶきぬ」に続き、夜更けの露の景を受け継いでいる。
三句「飽かずのみ」は飽きることなくひたすらにの意である。
四句「相見るものを」の「ものを」は逆接の詠嘆で、逢っていたいのにの意である。
結句「月をし待たむ」の「し」は強意で、月日を待つことになるのかと嘆いて結ぶ。前歌の結句に続いて「月」を詠み込んでいる。
あひみる:互いに顔を合わせる。逢う
- 作者
-
大伴家持
- 出典
-
万葉集
- 前の歌
-
秋風に今か今かと紐解きて うら待ち居るに月かたぶきぬ
- 次の歌
-
青波に袖さへ濡れて漕ぐ舟の かし振るほとにさ夜更けなむか