青波に袖さへ濡れて漕ぐ舟の
かし振るほとにさ夜更けなむか
- 歌の意味
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青い波に袖まで濡らして漕ぐ舟の、かしを打ち立てて舟をつなぐ間に、夜が更けてしまうのだろうか。
- 鑑賞
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巻第二十 雑歌 4313
詞書は前の歌に続き「七夕の歌八首」
袖まで濡らして漕ぐ舟をかしでつなぐ間に夜が更けてしまうだろうかと、牽牛が天の川を渡る途上の焦りを詠んだ一首である。左注によれば、大伴家持が独り天の川を仰いで作ったもので、八首の結びにあたる。一連は待つ心、隔ての嘆き、逢う喜びを交互に詠み、最後に渡河の場面で閉じている。
作者の大伴家持は大伴旅人の子で、この時は兵部少輔であった。
初句「青波に」は天の川を海に見立て、波の色を青と詠んでいる。
二句「袖さへ濡れて」の「さへ」は添加で、袖までも濡れての意である。渡る苦労を示す。
三句「漕ぐ舟の」は牽牛の舟を指し、四句へ続く。
四句「かし振るほとに」の「かし」は舟をつなぐ杭で、それを打ち立てる間にの意である。「ほと」は間、時の意である。
結句「さ夜更けなむか」の「な」は完了、「む」は推量で、夜が更けてしまうのではないかと案じて結ぶ。前々歌の「月かたぶきぬ」と同じく、時の過ぎゆくことを結句で示している。
かし:舟をつなぐために水中に立てる杭
- 作者
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大伴家持
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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秋草に置く白露の飽かずのみ 相見るものを月をし待たむ
- 次の歌
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八千種に草木を植ゑて時ごとに 咲かむ花をし見つつ偲はな