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八千種に草木を植ゑて時ごとに
咲かむ花をし見つつ偲はな

歌の意味
さまざまな種類の草木を植えて、季節ごとに咲くであろう花を見ながら賞美しよう。
鑑賞
巻第二十 雑歌 4314

詞書なし。左注に「右の一首は、同じ月の二十八日に大伴宿禰家持作る」とある
 さまざまな草木を植えて、季節ごとに咲く花を見ながら賞美しようと、庭に花木を植える楽しみを詠んだ一首である。左注によれば、七夕の歌と同じ七月の二十八日に家持が作った。季節の移りに沿って花を愛でようとする心は、続く秋野の花を思う六首へと連なっていく。
 作者の大伴家持は大伴旅人の子で、この時は兵部少輔であった。

 初句「八千種に」は数多くの種類にの意で、植える草木の豊かさを示す。
 二句「草木を植ゑて」は庭に草木を植える行為を述べる。
 三句「時ごとに」は季節ごとにの意で、一年を通じて花を楽しむ構想を示す。
 四句「咲かむ花をし」の「む」は推量、「し」は強意で、これから咲くであろう花をの意である。
 結句「見つつ偲はな」の「偲ふ」は賞美する意で、「な」は意志を表す。花を見ながら愛でようと結ぶ。

しのふ:心ひかれて賞美する
作者
大伴家持
出典
万葉集
前の歌
青波に袖さへ濡れて漕ぐ舟の かし振るほとにさ夜更けなむか
次の歌
宮人の袖付け衣秋萩に にほひよろしき高円の宮