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宮人の袖付け衣秋萩に
にほひよろしき高円の宮

歌の意味
宮仕えの人々の袖付け衣が、秋萩の色に照り映えてよく似合う高円の宮よ。
鑑賞
巻第二十 雑歌 4315

詞書なし。左注に「右の歌六首は、兵部少輔大伴宿禰家持、独り秋の野を憶ひて、聊かに拙懐を述べて作る」とある
 宮人の袖付け衣が秋萩に照り映える高円の宮よと、離宮の秋の華やぎを讃えた一首である。左注によれば、兵部少輔であった家持が独り秋の野を思いやり、拙い思いを述べて作った六首の一首目である。高円の宮は聖武天皇の離宮で、宮人たちが秋の野に遊ぶさまを思い描いている。
 作者の大伴家持は大伴旅人の子で、この時は兵部少輔であった。

 初句「宮人の」は宮に仕える男女を指し、一連の人物を示す。
 二句「袖付け衣」は端袖を付けた長い袖の衣で、宮人の晴れ着である。
 三句「秋萩に」は萩の花の色に照らされての意である。本巻の巻頭近くの高円の野の歌にも萩が詠まれ、同じ野の秋の景を受け継いでいる。
 四句「にほひよろしき」の「にほふ」は色が照り映える意で、萩の色と衣の色が調和して美しいさまをいう。
 結句「高円の宮」は体言止めで、離宮を讃えて結ぶ。続く歌もいずれも高円の野の景を詠んでいる。

そでつけごろも:端袖を付けた袖の長い衣
にほふ:色が美しく照り映える
作者
大伴家持
出典
万葉集
前の歌
八千種に草木を植ゑて時ごとに 咲かむ花をし見つつ偲はな
次の歌
高円の宮の裾廻の野づかさに 今咲けるらむをみなへしはも