- 歌の意味
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高円の秋の野の上に立ちこめる朝霧の中に、妻を呼ぶ牡鹿が出て立っているだろうか。
- 鑑賞
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巻第二十 雑歌 4319
詞書なし。左注は前の歌に続き、家持が独り秋の野を憶ひて作る六首の一首である
高円の秋の野の朝霧の中に、妻を呼ぶ牡鹿が出て立っているだろうかと、離れた野の朝の景を思いやった一首である。左注によれば、家持が独り秋の野を思って作った六首の五首目で、草花から鹿へと題材を移している。本巻の巻頭近くで家持が高円の野で詠んだ歌も、萩を分けて鳴く牡鹿を詠んでいる。
作者の大伴家持は大伴旅人の子で、この時は兵部少輔であった。
初句「高円の」は一連の二首目の初句と同じで、舞台を改めて示す。
二句「秋野の上の」は秋の野の上一面にの意で、前歌の「秋の野に」を受けている。
三句「朝霧に」は朝霧の立ちこめる中にの意で、霞む景のうちに鹿の姿を思い描く。
四句「妻呼ぶ壮鹿」は秋に妻を求めて鳴く牡鹿で、恋の情趣を帯びる景物である。
結句「出で立つらむか」の「らむ」は現在推量で、今ごろ出て立っているだろうかと思いやって結ぶ。
をしか:牡鹿
- 作者
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大伴家持
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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秋の野に露負へる萩を手折らずて あたら盛りを過ぐしてむとか
- 次の歌
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大夫の呼び立てしかばさを鹿の 胸別け行かむ秋野萩原