大夫の呼び立てしかばさを鹿の
胸別け行かむ秋野萩原
- 歌の意味
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勇士たちが声高く呼び立てたならば、牡鹿が胸で押し分けて行くであろう、秋の野の萩原よ。
- 鑑賞
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巻第二十 雑歌 4320
詞書なし。左注に「右の歌六首は、兵部少輔大伴宿禰家持、独り秋の野を憶ひて、聊かに拙懐を述べて作る」とある
勇士たちが声を上げて追い立てれば、牡鹿が胸で押し分けて行くであろう秋の野の萩原よと、狩りの勇ましい情景を思い描いた一首である。左注によれば、家持が独り秋の野を思って作った六首の結びの歌である。前歌の妻を呼ぶ静かな鹿から一転し、勢子に追われて萩原を駆ける鹿の力強い姿を描いて一連を閉じている。
作者の大伴家持は大伴旅人の子で、この時は兵部少輔であった。
初句「大夫の」は勇ましい男子の意で、狩りに加わる官人たちを指す。武門の大伴氏の家持がしばしば用いる語である。
二句「呼び立てしかば」は声を上げて追い立てたならばの意で、狩りの勢子の働きを示す。
三句「さを鹿の」は前歌の「壮鹿」を受け、同じ鹿を新たな場面に置いている。
四句「胸別け行かむ」は胸で草を押し分けて進む意で、「む」は推量である。
結句「秋野萩原」は体言止めで、萩の咲く秋の野を示して結ぶ。一連の一首目の「秋萩」と呼応し、六首を萩の景で閉じている。
ますらを:勇ましく立派な男子
むなわく:胸で押し分ける
- 作者
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大伴家持
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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高円の秋野の上の朝霧に 妻呼ぶ壮鹿出で立つらむか
- 次の歌
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畏きや命被り明日ゆりや 草がむた寝む妹なしにして