遠江志留波の磯と尓閇の浦と
合ひてしあらば言も通はむ
- 歌の意味
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遠江の志留波の磯と尓閇の浦とが、もしくっついていたならば、言葉も通わせることができるだろうに。
- 鑑賞
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巻第二十 防人歌 4324
詞書は前の歌に続き「天平勝宝七歳乙未二月、相替りて筑紫の諸国に遣はさるる防人等が歌」
故郷の志留波の磯と旅先の尓閇の浦とが接していたなら、言葉も通わせられるだろうにと、遠ざかる故郷との隔たりを嘆いた一首である。遠江国から進上された歌の四首目である。志留波は遠江国の海辺の地とされ、尓閇の浦の所在は未詳で、旅の途上の地とする説がある。「とへたほみ」は「とほたふみ」の、「かゆはむ」は「かよはむ」の訛りである。
作者の丈部川相は遠江国山名郡の防人で、詳しい伝は残らない。
初句「遠江」は作者の故国の名で、方言の形で記されている。
二句「志留波の磯と」は故郷の海辺を示し、「と」で並べ挙げている。
三句「尓閇の浦と」は離れた地の浦を示し、二つの地名を対置させている。
四句「合ひてしあらば」は二つの地が一つにつながっていたならばという反実の仮定である。
結句「言も通はむ」は言葉も通わせられるだろうにの意で、叶わぬ願いを述べて結ぶ。
いそ:岩の多い海辺
- 作者
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丈部川相
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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時々の花は咲けども何すれぞ 母とふ花の咲き出来ずけむ
- 次の歌
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父母も花にもがもや草枕 旅は行くとも捧ごて行かむ