- 歌の意味
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父母も花であったらよいのに。草を枕の旅に行くとしても、両手で捧げ持って行こう。
- 鑑賞
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巻第二十 防人歌 4325
詞書は前の歌に続き「天平勝宝七歳乙未二月、相替りて筑紫の諸国に遣はさるる防人等が歌」
父母が花であればよいのに、旅に出ても捧げ持って行こうと、両親を残して行く悲しみを詠んだ一首である。遠江国から進上された歌の五首目で、三首前の母を花にたとえる歌と同じ発想に立ち、花ならば離れずに携えて行けるという願いを素直に述べている。「捧ごて」は「捧げて」の訛りである。
作者の丈部黒当は遠江国佐野郡の防人で、詳しい伝は残らない。
初句「父母も」は両親を並べて挙げ、思いの対象を示す。
二句「花にもがもや」の「もがも」は願望、「や」は詠嘆で、花であってほしいと願う。ここで句切れとなる。
三句「草枕」は「旅」にかかる枕詞である。
四句「旅は行くとも」は旅に出て行くとしてもの意で、逆接の仮定である。
結句「捧ごて行かむ」は両手で高く捧げ持って行こうの意で、「む」は意志である。父母を大切に思う心が捧げ持つしぐさに表れている。
ささぐ:両手で高く持ち上げる
- 作者
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丈部黒当
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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遠江志留波の磯と尓閇の浦と 合ひてしあらば言も通はむ
- 次の歌
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父母が殿の後方のももよ草 百代いでませ我が来るまで