我が妻も絵に描き取らむ暇もが
旅行く我れは見つつ偲はむ
- 歌の意味
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私の妻の姿も絵に描き写す暇があればよいのに。旅行く私はそれを見ながら妻をしのぼう。
- 鑑賞
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巻第二十 防人歌 4327
詞書は前の歌に続き「天平勝宝七歳乙未二月、相替りて筑紫の諸国に遣はさるる防人等が歌」
妻の姿を絵に描き写す暇があればよいのに、旅先でそれを見てしのぼうと、慌ただしい出立を嘆いた一首である。左注によれば、遠江国の防人部領使坂本人上が二月六日に進上した十八首のうち、拙劣な十一首を除いて載せた七首の結びである。絵姿を形見にしたいという発想は万葉集でも珍しく、素朴な願いが率直に表されている。「いつま」は「いとま」の訛りである。
作者の物部古麻呂は遠江国長下郡の防人で、詳しい伝は残らない。
初句「我が妻も」の「も」は、他のものと並べて妻の姿もの意を添える。
二句「絵に描き取らむ」は絵に描き写そうの意で、形見とすることを思い描く。
三句「暇もが」の「もが」は願望で、その暇があればよいのにの意である。ここで句切れとなる。
四句「旅行く我れは」は防人として旅立つ自分を示す。
結句「見つつ偲はむ」は絵を見ながら妻をしのぼうの意で、「む」は意志である。
いとま:ひま。手のあいた時間
しのふ:離れているものを思い慕う
- 作者
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物部古麻呂
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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父母が殿の後方のももよ草 百代いでませ我が来るまで
- 次の歌
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大君の命畏み磯に触り 海原渡る父母を置きて