難波津に装ひ装ひて今日の日や
出でて罷らむ見る母なしに
- 歌の意味
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難波津で身支度を整えに整えて、今日の日にいよいよ出発して行くのだろうか。見送ってくれる母もいないままに。
- 鑑賞
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巻第二十 防人歌 4330
詞書は前の歌に続き「天平勝宝七歳乙未二月、相替りて筑紫の諸国に遣はさるる防人等が歌」
難波津で支度を重ね、今日いよいよ出立するのか、見送る母もいないままにと、船出の日の寂しさを詠んだ一首である。左注によれば、相模国の防人部領使藤原宿奈麻呂が進上した八首のうち載せられた三首の結びである。前歌の見送る人のいない嘆きを受けるように、母のいない船出を詠んでいる。
作者の丸子多麻呂は相模国鎌倉郡の上丁と記される防人で、詳しい伝は残らない。
初句「難波津に」は防人が船出する港を示し、前歌の「難波」を受けている。
二句「装ひ装ひて」は語を重ねて、念入りに身支度を整える様子を表す。前歌の「船かざり」と照応している。
三句「今日の日や」の「や」は疑問の係助詞で、結びは四句の連体形「罷らむ」となる。
四句「出でて罷らむ」の「罷る」は退出する、出立する意で、いよいよ出て行くのかと自問している。
結句「見る母なしに」は倒置で、見送る母のいない悲しみを結句に置き、前歌の結句「見も人もがも」と呼応している。
よそふ:身支度をする。装う
まかる:退出する。都や家を離れて行く
- 作者
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丸子多麻呂
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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八十国は難波に集ひ船かざり 我がせむ日ろを見も人もがも
- 次の歌
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大夫の靫取り負ひて出でて行けば 別れを惜しみ嘆きけむ妻