大夫の靫取り負ひて出でて行けば
別れを惜しみ嘆きけむ妻
- 歌の意味
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勇士が靫を背に負って家を出て行くと、別れを惜しんで嘆いたことであろう、その妻は。
- 鑑賞
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巻第二十 防人歌 4332
詞書は前の歌に続き「天平勝宝七歳乙未二月、相替りて筑紫の諸国に遣はさるる防人等が歌」、さらに「追ひて防人の別れを悲しぶる心を痛みて作る歌一首并せて短歌」
靫を負って勇士が出立すると、別れを惜しんで嘆いたであろう妻をと、防人の家族の悲しみを思いやった一首である。詞書によれば、防人の別れの悲しみに心を痛め、後から思いやって作った長歌(本巻の第四千三百三十一首)に添えた反歌の一首目である。左注によれば、二月八日、兵部少輔大伴家持の作である。家持は兵部少輔として難波で防人の検閲にあたっており、その折に進上された防人の歌に触れて詠んだものである。
作者の大伴家持は大伴旅人の子で、この時は兵部少輔であった。
初句「大夫の」は勇ましい男子の意で、防人として出立する男たちを讃えて呼んでいる。
二句「靫取り負ひて」の「靫」は矢を入れて背負う武具で、兵士としての出立の姿を示す。
三句「出でて行けば」は確定条件で、家を出て行くとの意である。
四句「別れを惜しみ」は妻が別れを惜しむ様子をいう。
結句「嘆きけむ妻」の「けむ」は過去の推量で、嘆いたであろう妻よと体言止めで結ぶ。前の防人自身の歌が母や妻を思ったのに対し、残された妻の側から思いやっている。
ゆき:矢を入れて背負う武具
- 作者
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大伴家持
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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難波津に装ひ装ひて今日の日や 出でて罷らむ見る母なしに
- 次の歌
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鶏が鳴く東壮士の妻別れ 悲しくありけむ年の緒長み