海原を遠く渡りて年経とも
子らが結べる紐解くなゆめ
- 歌の意味
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海原を遠く渡って年月が経っても、妻が結んでくれた紐を決して解いてはならない。
- 鑑賞
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巻第二十 防人歌 4334
詞書は前の歌に続き「天平勝宝七歳乙未二月、相替りて筑紫の諸国に遣はさるる防人等が歌」
海原を遠く渡って年が経っても、妻が結んだ紐を決して解くなと、防人に呼びかけて妻への貞節を説いた一首である。左注によれば、二月九日に大伴家持が作った三首の一首目である。別れに際して結び合った紐を再会まで解かないことは夫婦の誓いの証とされ、その習俗を踏まえて防人を励ましている。
作者の大伴家持は大伴旅人の子で、この時は兵部少輔であった。
初句「海原を」は難波から筑紫への海路を示し、防人の行く先の遠さをいう。
二句「遠く渡りて」は遠く海を渡っての意である。
三句「年経とも」は逆接の仮定で、年月が経ったとしてもの意である。
四句「子らが結べる」の「子ら」は親しい女性、ここでは妻を指す。七夕の歌で家持が詠んだ「紐」の習俗と通じている。
結句「紐解くなゆめ」の「な」は禁止、「ゆめ」は決しての意で、倒置により強く戒めて結ぶ。
こら:親しい女性を呼ぶ語。ここでは妻
- 作者
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大伴家持
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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鶏が鳴く東壮士の妻別れ 悲しくありけむ年の緒長み
- 次の歌
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今替る新防人が船出する 海原の上に波なさきそね