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父母え斎ひて待たね筑紫なる
水漬く白玉取りて来までに

歌の意味
父母よ、身を慎んで待っていてください。筑紫にある、水に浸かっている白玉を取って帰って来るまで。
鑑賞
巻第二十 防人歌 4340

詞書は前の歌に続き「天平勝宝七歳乙未二月、相替りて筑紫の諸国に遣はさるる防人等が歌」
 父母よ、身を慎んで待っていてほしい、筑紫の海の白玉を取って帰るまでと、無事の帰還を約した一首である。駿河国から進上された歌の四首目で、白玉を土産に持ち帰るという言葉に、必ず帰るという決意と父母への思いを託している。「とちはは」は「ちちはは」の訛り、「え」は呼びかけの助詞である。
 作者の川原虫麻呂は駿河国の防人で、詳しい伝は残らない。

 初句「父母え」は父母への呼びかけで、方言の形で記されている。
 二句「斎ひて待たね」は前歌の結句と同じ句で、身を慎んで待ってほしいと願う。ここで句切れとなる。
 三句「筑紫なる」は筑紫にあるの意で、防人の赴任先を示す。
 四句「水漬く白玉」は水に浸かっている白玉で、海中の真珠を指す。
 結句「取りて来までに」は倒置で、取って帰るまでと待つ期限を後から添えて結ぶ。

しらたま:白い美しい玉。真珠
みづく:水に浸る
作者
川原虫麻呂
出典
万葉集
前の歌
国廻るあとりかまけり行き廻り 帰り来までに斎ひて待たね
次の歌
橘の美袁利の里に父を置きて 道の長道は行きかてのかも