橘の美袁利の里に父を置きて
道の長道は行きかてのかも
- 歌の意味
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橘の美袁利の里に父を残して、長い長い道のりは行きかねることだ。
- 鑑賞
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巻第二十 防人歌 4341
詞書は前の歌に続き「天平勝宝七歳乙未二月、相替りて筑紫の諸国に遣はさるる防人等が歌」
橘の美袁利の里に父を残して、長い道は行きかねると、父を思って足の進まない心を詠んだ一首である。駿河国から進上された歌の五首目である。「橘」は駿河国の地名とされ、美袁利はその中の里の名とされるが、いずれも所在は確かでない。「かての」は「かてぬ」の訛りである。
作者の丈部足麻呂は駿河国の防人で、詳しい伝は残らない。
初句「橘の」は地名で、次の「美袁利の里」をさしている。
二句「美袁利の里に」は作者の故郷の里である。
三句「父を置きて」は字余りで、父を残しての意である。父ひとりを挙げるところに家族の事情がうかがわれる。
四句「道の長道は」は語を重ねて、長い長い道のりはの意である。
結句「行きかてのかも」の「かて」は〜できる意、「の」は打消「ぬ」の訛りで、行くことができないことだと詠嘆して結ぶ。
ながち:長い道のり
かつ:〜することができる。〜に耐える
- 作者
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丈部足麻呂
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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父母え斎ひて待たね筑紫なる 水漬く白玉取りて来までに
- 次の歌
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真木柱ほめて造れる殿のごと いませ母刀自面変はりせず