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真木柱ほめて造れる殿のごと
いませ母刀自面変はりせず

歌の意味
立派な柱を祝い言葉で讃えながら造った御殿のように、いつまでも変わりなくいてください、母上、面やつれもせずに。
鑑賞
巻第二十 防人歌 4342

詞書は前の歌に続き「天平勝宝七歳乙未二月、相替りて筑紫の諸国に遣はさるる防人等が歌」
 祝い言葉を唱えて造った堅固な御殿のように、母上よ、面変わりせずにいてくださいと、母の健やかさを願った一首である。駿河国から進上された歌の六首目である。家を新築する際に柱をほめて祝う習俗を引き、母の無事を堅固な家にたとえている。「まけばしら」は「まきばしら」の、「おめ」は「おも」の訛りである。
 作者の坂田部首麻呂は駿河国の防人で、詳しい伝は残らない。

 初句「真木柱」は檜などの良材で作った柱である。
 二句「ほめて造れる」は祝い言葉で讃えながら造ったの意で、新築の祝いの習俗を示す。
 三句「殿のごと」は御殿のようにの意で、初句から三句までが四句の「いませ」を修飾する比喩となっている。
 四句「いませ母刀自」の「います」は「あり」の尊敬で、「母刀自」は母への敬称である。ここで句切れとなる。
 結句「面変はりせず」は倒置で、顔かたちが変わることなくと願いを添えて結ぶ。

まきばしら:檜などの良材で作った柱
ははとじ:母を敬って呼ぶ語
おもがはり:顔かたちが変わること。やつれること
作者
坂田部首麻呂
出典
万葉集
前の歌
橘の美袁利の里に父を置きて 道の長道は行きかてのかも
次の歌
我ろ旅は旅と思ほど家にして 子持ち痩すらむ我が妻愛しも